2016年5月
ゴールデンウイークを過ぎれば、季節は一気に夏に向けて走り出します。こんな素早い季節の移ろいを、歌人で国文学者の佐佐木信綱は「夏は来ぬ」の歌詞に表現しました。
卯の花の匂う垣根の ほととぎす 早も来鳴きて 忍音もらす 夏は来ぬ
さみだれのそそぐ山田に 早乙女が裳裾ぬらして 玉苗植うる 夏は来ぬ ・・・・・・・
四月には咲きほこる真っ白な卯の花の香が漂い、五月になるとほととぎすの初鳴きが聞こえてくる。五月雨は田んぼを潤し、早乙女は田植えに励む、そして夏を待つ。さりげない言葉の連続で季節の移ろいを歌う。そんな情景を浮かべると心が和みます。
新学期から一月余りが経ち、当初の緊張していた一年生は、高校生活にそろそろ慣れ始めてきたころでしょう。慣れ親しむことも肝心ですが、あまり慣れすぎますと、箍がゆるんできます。適度な緊張感は、かえって脳の活動を活性化させます。
四月の音楽法要では、この「箍がゆるむ、箍が外れる」という言葉の意味を、本物の木の桶を見せて説明し、気の緩みのないように喚起しました。
五月は、花祭りに球技大会、そして中間テスト。いろいろな行事が続き、あっという間に夏休みがやってきます。うかうかしてはおられません。一つ一つ、大切に臨んでほしいものです。時間はあっという間に過ぎてしまいます。